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2005.08.07

圓朝まつり

 今日(7日)東京谷中の全生庵で行われた「圓朝まつり」に出かけてきた。「圓朝まつり」とは、江戸落語中興の祖と呼ばれている三遊亭圓朝の命日8月11日の直前の日曜日に開催されている、落語協会のファン感謝デーのような祭りである。墓所のある全生庵で毎年行われていた「圓朝忌」がそのルーツで、境内には噺家さんたちが出す模擬店や飲食ブースが並ぶ。
 開場の10時に合わせて行ったのだが、既にすごい人出で全生庵のある三崎(さんさき)坂には長い行列ができていた。やっと入れた境内は始まったばかりなのに熱気でムンムン。今年の祭りは前夜にテレビで紹介されたこと、こぶ平師匠の大名跡正蔵襲名、ドラマ「タイガー&ドラゴン」(私は見ていない)のヒットなどがあって大盛況になったようである。会場の境内では噺家さんたちが写真撮影やサインに気軽に応じていた。残念ながらお目当ての小三冶師匠は来ていらしゃらなかった。残念ッ。
                  噺家さんらしいダジャレが満載
「紺屋高尾」ならぬ「本屋高尾」         「いせ辰」ならぬ「にせ辰」
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 20数年前に上京した時、うれしかったのは日常的に落語が聞けたことである。職場が新宿にあったのでよく新宿末広亭へ通っていた。亡くなる直前の三平師匠の噺を聞いたのも末広亭だった。病院を退院されたばかりで自分の病気のことをネタに客を爆笑させていた。月1回の紀伊国屋ホールでの落語会。ニッカン飛切落語会、今はない渋谷東横会館の東横落語会、そして三越落語会。よく通ったものである。ひとりで。
 志ん朝師匠の「芝浜」、小三冶師匠の「景清」、先代の馬生師匠(志ん朝師匠のお兄さんで、池波志乃さんの父親)の怪談噺「豊志賀の死」、枝雀師匠の「替り目」、米朝師匠の「百年目」など心に残る噺はたくさんある。でも私が今まで聞いた噺のベストワンは20年ほど前に聞いた立川談志師匠の東横落語会での「駱駝」。すごかった。それまでに私が落語に対して持っていたイメージを変えてしまった。落語とは単なる面白い話ではなく、「人間の業をすべて肯定する芸である」という談志師匠の主張が分かったよーな気がした。それ以来、談志師匠の「ひとり会」「独演会」によく通っているのだが、あれ以上の噺を聞いたことがない。
 もともと談志師匠は客を試しているようなとこがあって、その日の出来不出来がはっきりしている。客の期待が大きいとスーッと肩透かしを喰わしたりする。その政治信条?と一緒で一筋縄ではいかないのである。ある時「大工調べ」をノッテ演っていると思ったら、いきなり「今日はここまで」と打切ったり、演歌チャンチャカチャンならぬ落語のさわりだけを繋げた「落語チャンチャカチャン」であさっり流してみたりと。でも客もそれも芸のうちと怒ったりしない。むしろ楽しんでる気配さえある。「落語チャンチャカチャン」なんていい加減なようでよく聞いていると、ニヤリとしてしまう。やっぱりうまいから落語を10本ぐらい聞いた気にさせるのである。

 落語協会主催の「圓朝まつり」のつもりだったのに談志師匠の話になってしまった。そういえば談志師匠が落語協会を飛び出した直後、紀伊国屋ホールだったと思うが、「中入り」の談志師匠がみっちりと噺を聞かせ、「トリ」の小さん師匠(談志の師匠で落語協会会長)の出番が大幅に遅れたことがあった。当然怒っていると思いきや、いつものように悠然と登場した小さん師匠「しょーのないヤツで」とあっさり言って何事もなかったように噺を始めた。フーテンの寅さんの森川信さん演じる初代オイちゃんのセリフ「バッカだねえ~」と同じように、突き放しはするがどこか愛情のあるセリフであった。あれ以来小さん師匠が大好きになった。

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Comments

お仕事が忙しい時に、こんなブログをかけるサメも談志的だね。

私タケシがあまり好きじゃないんだけど、読みながら彼の(よく言うと)天才肌と似てるのかなと思った。良い話ありがと。

Posted by: 凛々 | 2005.08.13 at 08:11 AM

おぬしほどではないが、拙者も落語は好きでござる。亡くなる前の年、志ん朝を見て、この人は本当にうまいとしみじみ思ったものだった。小朝の高座も行ったけどこの人もうまい。話術の勉強もさせていただきやした。三平は浅草演芸ホールで見たよ。水島が一緒じゃなかったかな。もうずいぶん前だ。残念ながら談志は生でみたことない。聞いてみたかったなその「らくだ」。

Posted by: Kenji | 2005.08.13 at 04:42 PM

談志は天才だ!だから出来不出来が激しい。
逆に志ん朝さんはいつ聞いても端正で艶ぽかった。安心して聞けた。でもいきなり高座で住吉踊りを踊り出すなどお茶目な面も。
小朝はうまい。でも「クササ」が目立つような気がする。も少し年を取って枯れてきたらすごい噺家になるよーな。それにしても今の落語人気は小朝のプロデュースによるところが大きいと思う。

Posted by: same | 2005.08.13 at 09:58 PM

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